トラウマのカウンセリング
トラウマのカウンセリングには大きく分けて2つの方法があります。 ひとつは現在に焦点を絞るカウンセリング、もうひとつは過去に焦点を絞るカウンセリングです。
現在に焦点を絞るカウンセリングは、今困っているトラウマの問題に対処するものです。トラウマの引き金やフラッシュバックへの対処、トラウマによって学んだ間違った信念を適応的にしていく方法を学んでいきます。現在に焦点を絞るカウンセリングでは、トラウマ体験を詳細に話したり、深く思い出したりすることは要求されません。人間関係や自分自身の体調、自分自身を思いやるスキルなどを身につけていきます。
一方、過去に焦点を絞るカウンセリングでは、トラウマ記憶に向きあうことで「もう過ぎたこと、過去のこと」とトラウマの記憶と感情に穏やかに向き合えるようにしていきます。トラウマ記憶を掘り下げ、身体感覚やトラウマに関して持ち続けている信念などに気づいていきます。辛い記憶や感情を根の部分から治療していきます。
どちらの方法も効果はありますが、順番としてはまず現在の問題に焦点をあて、対処法をみにつけたり、生活を整えたりしてから、過去のトラウマに取り組むと良いと思われます。過去のトラウマに焦点を絞る時には信頼できるカウンセラーと慎重に安全に取り組むとよいでしょう。
【参考文献】 リサ・M・ナジャヴィッツ,監訳者 近藤あゆみ,松本俊彦 訳者 浅田仁子 「トラウマとアディクションからの回復 ベストな自分を見つけるための方法」 金剛出版,2020
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